手に掴める気持ちなどないと言ったのは、貴方でした。
それでも僕は、この手で掴みたいと思いました。
カタチなどなくても、それがたとえ気休めでしかなくても。
ただ、ずっと、貴方の背中を追い続けた幼いあの頃。
この手で掴みたいと思ったのは、貴方の後ろ姿。
貴方が旅立ってから、もう随分と長い時が過ぎました。
便りの一つもなく、噂さえも聞こえぬまま。
安否さえ、分からぬまま……。
そんな今でも手にしたいのは、貴方のココロ。
それ以外になんて、何もいらない、何も…。
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